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二人がこっそり宿を抜け出したのを確認して、屋根伝いに追いかける。

足場が無い場所は風を足場にして進む。

魔力の羽を出してもいいのだが、いかんせん色が色なので目立つ。


「うーん、なんかありそう」

「なんだよ」

「ちょっと気になることがね」


月唯がこんなことを言う時は大なり小なり何かある。

何年も一緒に任務をこなして来ると、相手の癖も判ってくる。

直感で何かを感じ取るのは月唯の方が上手なので、それなりの心構えはしておく。


開けた道に出ると一度止まる。

街の外壁と倉庫に囲まれた場所はまったく人気が無い。


「今日は倉庫番でも狙うのかしら?」


さらっと物騒なことを言うなよとつっこみたかったが、視線は二人組から離れない。

本来なら止めるべきだが、これも任務だと割り切って見てるだけなのだ。


「ん?」


異変に気づいたのはどちらだったか。


「フェイト!」


飛び出したのはほぼ同時。

リュートが横に吹き飛ばされ、外壁に叩きつけられる一瞬前だった。


「やっぱり昼間のがまずかったなぁ…」


二人の間に割り込むように飛び込む。

吹き飛ばされたリュートは軽い脳震盪を起こしたようだ。


「なーにやってんのよリュート」

「お前らか…」


月唯が手際よくケガの程度を確認して、向き直る。

その間、自分は暴走したラウドをおびき寄せる役だ。

引き離している間、何か話しているのが聞こえた。


「一大事だったら二択」

「俺のモノにキズつけたら承知しない…!」

「りょーかい♪」


…また悪い癖を。

ワイヤーを使う構えに入ったのを視界の隅に捕らえた。

腕を振るのが見えると同時にバックステップで月唯の反対側に離れる。


「なっ」


驚いたのは、飛びのいた自分に間髪いれずについてきたラウドの反応のよさ。

一瞬、一緒にワイヤーに巻き込まれたかと思った。

それは杞憂に終わり、ぴたっと動きが止まる。

しかし細腕では、力の歯止めが効かない相手は完全に止めきれないようだ。


「ん~フェイト、やっぱり腕掴んで止めちゃって」

「月唯…すこしは踏ん張れよ」


注意がそれた隙にラウドの手首を掴み、動きを完全に封じる。

自慢じゃないが…腕力は人の倍以上あるので、拘束したらめったなことでは逃げられたためしがない。


「リュート~、ぼーっとしてないで早くやっちゃいなさい」


ちょっと手際が良すぎたか。

リュートが唖然とした顔で見ているだけになっていた。



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