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はたと目が覚めた。
もともと任務中の眠りは浅いので、すぐ頭ははっきりとしてくる。
「…物音?」
なにか木の軋む音がする。
ここは石造りの地下室だ、軋む音は家具からの音しかない。
「なにやってんの…こんな時間に」
ラウドが起きると悪いので、明るいディスプレイを隠しながらボイスレコーダーを起動させる。
音が漏れないようにイヤホンも必須だ。
ワイヤレス集音マイクをそーっと上部の壁の隙間に置いて。
「まったく…」
すこしボリュームを上げると何を話しているか聞こえてきた。
『オッサン、ケ…に……なに……る』
『ひ……ぶりだ……具合は…』
すこし雑音が多いが、ノイズキャンセラでも通せばきれいになるだろう。
報告書を書くために録音しておかねば。
しかしなんか様子が変だ。
「はて…?」
まだ会話が続いているが、どうもリュートの口ぶりから何か嫌がっている様子。
でも片足を骨折している所為なのか、知り合いの所為なのか暴れる気配がない。
嫌がることがあればすぐ攻撃する性格かと思っていたのだが…
暫く様子を伺うことにしてみる。
『へぇ……なに…って…か?』
『うるさい!』
なんか…余裕の無い返事になってる気がするのは気のせいでしょうか。
それにしても似たようなものを何かで…どこかで…
たとえば雑誌とか…マンガとか…小説とか…
「あ。」
パズルが一気に組みあがる感覚。
それと共に今、隣の部屋で何が起こっているか把握してしまった。
「…あわわわわ」
音声だけ。というのも、いらぬ想像をかき立てられてしまうものである。
「…はわわ…これじゃ、提出できな…あぅ~」
雰囲気からして何かあるとは思ったものの、まさかまさか予想してたとおりとは。
投稿者 ryifb4 | 返信 (0) | トラックバック (0)