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荷物をひっくり返し、まじない用の薬を取り出す。
効くか効かないかという薄さの睡眠薬と幻覚剤である。
「う…」
その小瓶を危うく取り落としそうになる。
「ちょっとダメージが大きいんじゃないの?…動かないで」
「何を…」
頭のケガが響く。
そこにユイが触れるか触れないかの位置に手をかざすと、痛みがすっと無くなった。
「ほい、押しても触っても大丈夫」
「!?」
「骨以外は治った、今回は特別ね」
触ってみても痛くは無い、ゆがんだ視界も戻っている。
薬の量を調節しなければならないのでありがたい。
「ラウド、飲めるか?」
起こして薬を飲ませようとするが、苦しげな表情で唸っていて無理と判断する。
しかたなしに、少し流し込みやすいように水に溶かし、舌を噛まれない様に注意して口移しで飲ませる。
苦く甘い奇妙な味が口に広がる。
「んく……げほっ」
「ふう、飲み込んだか」
うまく飲んでくれたようだ、後は薬が効くのを待つだけだ。
幻覚剤が効いてくると、現実と切り離される状態になるので少しは楽になるはず。
苦しんでいる原因は、急にいじられたために起こる体と心の不一致だろう。
こいつの事だ、もしかしたら中途半端に意識同士が混ざり合った可能性が高い。
「…応急処置しかできないな」
投稿者 ryifb4 | 返信 (0) | トラックバック (0)