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あちこちから響く断末魔の声。
「…知っているものすべて皆殺し。ね…ひどい師匠だな」
閉鎖されている建物に逃げ場はない。
ましてや深夜。
生き残るものがいたら、それは最初から逃げられるように不視の術をかけられている。
「ここに入ったら処刑されるだけだから、その時間が早まったと思えばいいさ」
牢の鍵を一つ一つ開けていく。
看守はとっくに息絶えているし。
開けても構いはしない、なぜなら…
「あれ、もう居住館終わったのか。早いな」
音も無く牢の入り口に立つ小柄な人影。
一時的な狂人化の術が切れ掛かっているのか、焦点の合いきらない目だ。
あと一仕事してもらうには掛け直すしかないだろう。
「おいで、ラウド」
ふらふらと近寄ってきた相手を抱き寄せる。
安心したのか、腕の中で目を瞑りふっ、と力を抜いた。
汚れるのも構わず背中を撫でてやる。
いい子だ、自分の言うことを聞いていればいい。
「舞え、舞い狂え」
一つ強く抱きしめ、耳元で囁く。
ぎくりと硬直する体。
取り落とした得物を握らせ、軽く背中を押した。
投稿者 ryifb4 | 返信 (0) | トラックバック (0)