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昔からアルは運がよかった。
運が良すぎたためトラブルによく合うのだが、それすら運で乗り切るとんでもないやつだ。
どういうわけか、今回も巻き込まれてただ一人無傷で助かったといっても過言ではないらしい。
「お前、こんなの追っかけていたのか」
「まあな、余りにも範囲が広すぎて人手が足りないんだ」
一応部下は5人ほどいるのだが、各地で聞き込みをさせているので暫く帰ってこない。
数日に一度情報が届くが、これと言ってめぼしい情報は出てきていない。
ただ、人相図を送ったのでもう少ししたら重要な情報が入るかもしれない。
「国内全体で1500ちょい…これ本当に一人で出来るもんか?」
「精査しなければならないが、同じ手口が続くと同一犯だと思わざるをえない」
「で、なんで俺が手伝わなきゃいけないんだ?別に誰でもいいだろ」
「これを見たらそんなことも言えないと思うが」
部下に送ったものと同じ書類をアルに渡す。
案の定、絶句している。
「聞き込みなんぞは支部に頼めば何とでもなる。別の理由だよ、アル」
別の理由…一度でも交わしたら口封じとして殺されるため、相手より先に確保しなければならない。
そして何より、アルしか詳しいことを聞きだせる者がいないのだ。
「ぐ…」
「断われるわけがないよな、バレたわけだし」
「リュートの事はともかく…実家には言うなよ」
「それは今後の働き次第だよ」
なにより、重大な秘密を握ってしまったのが堪えたらしい。
アルは昔から悪さばかりしていて、よく叱られていたからな。
叔父さんは怒ると怖いから、いい薬だ。
投稿者 ryifb4 | 返信 (0) | トラックバック (0)