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いつものように。

目の前がはっきりしてくると、とっくにこと切れた死体。

何も感情が動くことは無い。


でも違和感。


いつもいるはずのリュートがいない。

こういうときは必ず傍にいるはずなのに。


廊下に出て気配を探す。

微かな風の流れを感じてたどっていく。



暗闇の中、床に座り込んでいる見知った背中を見つける。

近づいて呼ぼうとしても、声が出なかった。


異様な雰囲気。血の臭い。


「リュ…ト?」


緊張してかすれた声で呼ぶと、ゆっくりと振り向いた。

何かをすする音。

何度も見慣れた行為だ、口の周りが真っ赤になっている。

目を合わせると少し笑ったような気がした。


しかし、自分は冷たい手で心臓を掴まれた感覚に陥りへたり込む。


怖い。


恐怖心がこみ上げてきて体が小刻みに震える。

震えを押さえようとして肩を抱くようにするが止まらない。


頬にぬるりとした感触と鉄の臭い。

俯いた顔を上げられ、合わせた視線には明らかに狂った色を乗せていた。


怖くて怖くて声が出ない。


「寒いのか?」


震える体を抱きしめられ、酷くやさしく背中を撫でられる。

狂気に中てられ動けない自分は、なされるがまま。

首を振って答えるぐらいしかできなかった。



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