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かなり長い時間、橋のそばで待っていた。
「遅いな」
「うん…」
何回か同じやりとりを繰り返す。
その度に不安が少しずつ増えていく。
早く、戻って来て欲しい。
どのくらい待っていただろう。
消えるようなかすかな歌が聞こえてきた。
程なく、重い足取りでリュートが現れた。
返り血で前が汚れている。
ただ、様子がおかしい。
「リュート?」
声を掛けると重い動作で顔を上げた。
半分を血で真っ赤にして、向けてきた目は虚ろだった。
「…ぁ」
かすかに唇が何かつぶやいた。
それに気を取られ、リュートが崩れる瞬間を見逃す。
嫌な感じの鼓動。
慌てて駆け寄り、倒れる寸前に何とか抱きとめた。
「リュート!!」
「おい、何やらかした!」
二人で声をかけても、ぶつぶつと何かを呟き、震えている。
「…戻るぞ、どっちにしても見られるのはまずい」
フェイトが軽々と抱き上げたリュートを受けとる。
そのまま、人目をさけて小路を縫うように宿へ戻った。
投稿者 ryifb4 | 返信 (0) | トラックバック (0)