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どれほど悩んだことか。
いい加減覚悟を決めなければならない。
自分の最期を見据えること。
術の完成には、一番最後に自分が餌食にならないといけないのは知っている。
やるからには確実に。
まるまる一つ目的を書き換えたようなものだ。
負担は相当なものだろう…
「いてて、ツメ立てるな」
しがみついてくる力が容赦ない。
呼吸も荒く、うめき声が絶えない。
落ち着くように頭や肩を撫でていても逆効果のようだった。
「りゅ…と、くるし…っ…」
その言葉を言うか言わないうちに、ラウドの力が抜ける。
顔を覗きこむと、焦点の合わない目が閉じられる。
「逃げるな、ラウド」
気を失いかけていたところを無理やり起こす。
ここで書き換えしたものを無に返すのは面倒だ。
それに、気分的に一回で終わらせたかった。
「ゆっくりでいい、受け入れろ」
自分にも言い聞かせるように言う。
これは決められたことだ、後戻りはできない。
「後戻りは出来ない、終わりまで進むしかないんだよ」
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予想外の頼まれごと。
それは…
「…子供ってどうやって扱えばいい?」
お兄さん、ぶっちゃけ慣れです。実学です。
まぁ、今までの調べでリュートは普通の育ち方してないので知らないのも当然か。
「何を考えているのかさっぱり解らん…」
「あのくらいの子供なら、興味があると何でもついて行っちゃうから目は離さないほうがいいわよ」
「むぅ…」
よっぽど慣れてないのか、ストレスになっているようだ。
…クーはストレスにならないのね。
「あとは、怪我しない程度に見守るのとマナーを教えるってくらいかしら」
「…めんどくさいな」
「あまり怒らないのもコツね。根気が必要よ~」
いい隠れ蓑ができてよかったじゃない、と囁くと苦虫を噛み潰したような顔をした。
「ま、夜に出かけるときはあの子の面倒くらい見てあげてもいいわよ」
そのつもりで質問してきたんでしょうがと少々意地悪な笑みで返してみた。
リュートがパンドラのことを子供と勘違いするのも無理はナイ。
こっちも大義名分ができて、常時張りつけるなと算段をめぐらせていた。
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頭が痛い。
呼吸ができない。
キモチワルイ…
苦しくて、苦しくて。
「ぐうっ……」
「少し、慣れるまでガマンしてくれないか?」
嫌いだ、リュートに「カキカエ」される時は。
起きると、体にひびが入ったように苦しい。
体と心がばらばらになったみたいで…
「う…ぐぁっ…」
苦しくて何かにすがりつく。
こうでもしないと壊れそうで…
「いてて、ツメ立てるな」
聞こえる声すら感覚が狂う引き金になって。
必死に「何か」に抵抗する。
頭の中にある違和感。
その違和感を受け入れられなくて。
「りゅ…と、くるし…っ…」
自分が何を言ったかすらわからない。
ひどい違和感。
耐えられない。
そう思うと、すとんと落ちる感覚。
苦しさが消えていく…このまま落ちれば…
「逃げるな、ラウド」
縛る声。
「受け入れろ」
「うぁぐっ…」