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0.84

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訓練を終えて休むためだけの部屋に戻される。

明かりが一つしかなく、窓も無い暗い部屋。

だから少しでも空気がヘンなことに気がつく。


「だれかいる?」

「シッ」


鍵を掛けられたドアの死角にしゃがんでいる人影。

足音が遠ざかるとほっとしたようだった。

口元に当てている指がやけに細い。

自分の手と比べても細い。


「…え……あの師匠、何考えてんだ」


こっちも見えた顔に驚いた。

大人達はすべて顔を隠しているため、あまり記憶に残らない。

シアイでやるときも顔を隠してやるから個々としての感覚が薄い。


もしかしたら初めて人の顔を見たかもしれない。


「だれ?」

「お前こそ、いつからココにいた」

「しらない。ここしか知らない」

「…そうか」


かすかに上の階の足音が急ぎ足が増えたように感じられる。

迷い込んだ人は何かにおびえたように俯いてしまった。


「どうしてここにいるの?」

「…イヤになったから隠れてる…」


そういえば大人達が言っていた、「ここからは逃げられない」と。


「…解っている…わかっているんだよ!!」


拳を床に叩きつけて叫んだ後、何か頬を水のようなものが伝っていった。

ふっと興味が沸いて指先を伸ばしてすくい取り、舐めてみる。


「しょっぱい…水かと思った」

「…お前」

「いつもは短剣で刺すと赤い水しかでてこないんだけどなぁ」


ふつふつと疑問が湧き上がって押さえきれなくなる。

どうやったらしょっぱい水が出てくるのだろう。


「なんでだろう?」


気がつけば相手の首に手をかけ、締め上げていた。

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