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訓練を終えて休むためだけの部屋に戻される。
明かりが一つしかなく、窓も無い暗い部屋。
だから少しでも空気がヘンなことに気がつく。
「だれかいる?」
「シッ」
鍵を掛けられたドアの死角にしゃがんでいる人影。
足音が遠ざかるとほっとしたようだった。
口元に当てている指がやけに細い。
自分の手と比べても細い。
「…え……あの師匠、何考えてんだ」
こっちも見えた顔に驚いた。
大人達はすべて顔を隠しているため、あまり記憶に残らない。
シアイでやるときも顔を隠してやるから個々としての感覚が薄い。
もしかしたら初めて人の顔を見たかもしれない。
「だれ?」
「お前こそ、いつからココにいた」
「しらない。ここしか知らない」
「…そうか」
かすかに上の階の足音が急ぎ足が増えたように感じられる。
迷い込んだ人は何かにおびえたように俯いてしまった。
「どうしてここにいるの?」
「…イヤになったから隠れてる…」
そういえば大人達が言っていた、「ここからは逃げられない」と。
「…解っている…わかっているんだよ!!」
拳を床に叩きつけて叫んだ後、何か頬を水のようなものが伝っていった。
ふっと興味が沸いて指先を伸ばしてすくい取り、舐めてみる。
「しょっぱい…水かと思った」
「…お前」
「いつもは短剣で刺すと赤い水しかでてこないんだけどなぁ」
ふつふつと疑問が湧き上がって押さえきれなくなる。
どうやったらしょっぱい水が出てくるのだろう。
「なんでだろう?」
気がつけば相手の首に手をかけ、締め上げていた。
投稿者 ryifb4 | 返信 (0) | トラックバック (0)