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ryifb4

本線

0.84

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訓練を終えて休むためだけの部屋に戻される。

明かりが一つしかなく、窓も無い暗い部屋。

だから少しでも空気がヘンなことに気がつく。


「だれかいる?」

「シッ」


鍵を掛けられたドアの死角にしゃがんでいる人影。

足音が遠ざかるとほっとしたようだった。

口元に当てている指がやけに細い。

自分の手と比べても細い。


「…え……あの師匠、何考えてんだ」


こっちも見えた顔に驚いた。

大人達はすべて顔を隠しているため、あまり記憶に残らない。

シアイでやるときも顔を隠してやるから個々としての感覚が薄い。


もしかしたら初めて人の顔を見たかもしれない。


「だれ?」

「お前こそ、いつからココにいた」

「しらない。ここしか知らない」

「…そうか」


かすかに上の階の足音が急ぎ足が増えたように感じられる。

迷い込んだ人は何かにおびえたように俯いてしまった。


「どうしてここにいるの?」

「…イヤになったから隠れてる…」


そういえば大人達が言っていた、「ここからは逃げられない」と。


「…解っている…わかっているんだよ!!」


拳を床に叩きつけて叫んだ後、何か頬を水のようなものが伝っていった。

ふっと興味が沸いて指先を伸ばしてすくい取り、舐めてみる。


「しょっぱい…水かと思った」

「…お前」

「いつもは短剣で刺すと赤い水しかでてこないんだけどなぁ」


ふつふつと疑問が湧き上がって押さえきれなくなる。

どうやったらしょっぱい水が出てくるのだろう。


「なんでだろう?」


気がつけば相手の首に手をかけ、締め上げていた。

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754

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「少しくらいなら相手してやってもいいぞ」



どこにも吐き出せない思いをそのまま攻撃に乗せて。

しかし洒落にならないスピードで返される。


何度繰り返しただろうか?


半分以上赤くなったセカイで二人っきりでの一方的な殺し合い。

何度返されても収まりがつかなくて、また感情のまま襲い掛かって。


「癇癪を起こした子供…いや、認められたいだけの子供って感じだ」


今度は短剣を持った手をつかまれ、勢い良く叩きつけられる。

予想以上の衝撃に息ができない。


「ぐっ……げほっ…っ!」

「気が済んだか?」


呼吸が落ち着くと、荒れていた気持ちが無くなっていた。

溜まっていたものが消えてしまったようだった。


「お前の攻撃、思ったよりパターンが単純で避けやすかったぞ」

「…そっちこそ、勝てる気がしない」


強い、間違いなく強い。

フェイト相手に太刀打ちできないとは思わなかった。


「ただの経験の差だ」


起こそうと手を差し伸べてくる相手。

その手を取って起き上がるフリをする。

油断しているところを起き上がったときの勢いだけで刺すつもりだった。


ふわりと足が浮く感覚。


「ま、俺の場合は力の差も間違いなくあるから気をつけろよ」


片腕で空中に投げ出されたと気がついたときには、もう遅い。

体勢が立て直せず、また容赦なく叩きつけられた。

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804

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落ち着いてみると、やはり周りが見えてくるものだ。

そうすると前とは違うものが見えてくる。



たとえば、今やりあっていた暗殺者と術士は明らかに自分達を狙っていた事。

4人いたのだが、一人逃がしたのでラウドを追わせている。


「火消しに動いてるのか、邪魔なのか…両方かもしれないな」



たとえば、ユイとフェイトが予想以上に使える存在だったこと。

今も人払いの術をかけて人の目を完全に避けている。

その他にも子守や怪我の治療など小さなことから、逃走経路の確保まで何でもやってのける。

ただ油断していると、ユイに弱みを握られてしまうのが怖いところだ…



一番目に付いた変化はラウドの戦い方だ。

受身型の攻撃が一変していた。

素早く、鋭い一撃が相手を一瞬で倒した時は戦慄が走った。

それと同時に頼もしくも感じた。



少し、自分が弱くなったのかと錯覚するくらいに。

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347.4

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「舞え、舞い狂え」


次の瞬間、衝撃に続いて激痛が走り視界が歪む。


何が起こったか解らなかった。

暴走したラウドに真横に吹き飛ばされ、おもいっきり塀に叩きつけられたのだ。

まさかこんなことになるとは思うはずがない、油断した証拠だ。


「っぐ…何が原因だ…」


普段から術でラウドに枷をつけて押さえつけている。

その「枷」を外すのに失敗して暴走したとしか考えられない。

しかしその枷は自分が掛けたものだ、外すのに失敗する理由が無いし、考えられない。



「なーにやってんのよリュート」

「お前らか…」


割り込むように降り立つ二つの影。

いつも余計なちょっかいを掛けてくる二人組か。


「一大事だったら二択」

「俺のモノにキズつけたら承知しない…!」

「りょーかい♪」


軽い返事だったが、目が笑っていない。

その証拠に、きらりと月光を跳ね返した糸は一瞬でラウドの動きを止めた。


「ん~フェイト、やっぱり腕掴んで止めちゃって」

「月唯…すこしは踏ん張れよ」

「リュート~、ぼーっとしてないで早くやっちゃいなさい」


はっ、と我に返ると完全にラウドの動きは封じられていた。

ラウドの力は自分がよく知っている。

それを一分少々で鮮やかに止めたこの二人の力量は計り知れない。



こいつら一体何者だ?

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823.2

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「ちょっとお兄さん、おつかい頼まれてくんない?」


本に偽装させた端末を弄っていた月唯に声を掛けられる。

最近、リュートが出かける間の子守中はいつも弄っているのだ。


「買い物だったら自分で行けよ…」

「残念ながら、お買い物ではありませんのよ」


手招きされて覗き込んだ端末には注意のアラートが点滅していた。

戦闘任務の作戦に使うフィールドマップを応用して、買い物に出たリュートを追いかけていたらしい。


「…いつのまに仕掛けた?」

「行水中にこっそりとマントに仕込みました」


そういえば、「野暮用だ」と言って出かけてかれこれ一時間半は過ぎた。


「30分前からぴたりと動かないのよねぇ…列ならじりじり動くはずなのに」

「だから行って来いと」

「そーゆうこと」




ステルスをかけてから窓を飛び出す。

やはり市場のような混雑した場所で探す場合は上から探した方がいい。

しかし、月唯から指定された所は市場から離れた場所だった。


「何があると言われれば…公園、民家、宗教施設…人気無いな」

『うーわー、やられた。絶対捕まってる、見た目より抜けてるから』

「まだそうと決まったわけじゃないだろ、近くまでナビしろ」


文句を言いながら反応がある場所まで屋根伝いに飛んでいく。

反応が一番近くなったところで足を止めた。


「そこそこ広い…商人系の家か」

『フェイト、その家の高さどのくらい?』

「二階建てだ、5mって所だろう」

『…なんで10mも…地下室かぁ』


外から見ても手伝い以外の気配はない。

ただ、屋根から玄関を覗き込むと人の出入りはひっきりなしに続いている。


「くさいな、やっぱり」

『理由は何にしろ、飛び込みますか』

「今の時間は人が多すぎて騒ぎになる、深夜か朝方だな」

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131

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最後は首をかき切ったため、まともに血を浴びた。

しかし臭いには慣れてしまい、べたべたとした感触が不快だ。

ふらりと最後の部屋を出て、疲労に耐えかねて膝をつく。


「お疲れさま」


目の前に誰か立ったのはいいが、瞼が重く沈んでくる。


「疲れたろ、眠っていいよ…二・三日な」


そう言われて、耳元を何か掠めると急に睡魔に襲われる。

極度の疲労で抵抗できる気力も無く、そのまま意識が沈んでいった。

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369.2

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冷たい手が頭を押さえている。



眠っている頭でもはっきり判る。


その、冷たい手が頭の中に直接入ってくる感触。

気持ち悪くて振り払おうとしても、できなくて。



鏡写しの自分


境界線のごとく深い谷


がくりと崩れ落ちる足元と落下する浮遊感


後ろから誰かに抱きつかれ、呼ばれる声


生暖かい感触



何か舞台や影絵を見ている感じだ。

何度も繰り返し見せられて、冷たい手は離れていった。

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943.3

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聞こえるのは鈴と水の音だけ。


張り詰めた空気で激しい歌と踊りのぶつかり合い。

周りの見物客が息を潜めて成り行きを見守る。


決着は唐突に訪れた。


ぶつっという音と同時に押さえた弦に手応えが無くなる。

一瞬後に切れた弦が左頬を掠めた。


「っ!…」


急に歌が止み、あたりは噴水の音と鈴の余韻だけになる。


「悪い、弦が切れてしまった」

「残念ね、もう少し楽しみたかったわ」


歌と踊りの終焉で、辺りの空気から緊張感が一気に抜ける。

そうするとどこからともなく拍手が起こった。

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801.3

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冷静になってみると…まずいことをした。

極力、ラウドの前では見せないようにしていたのだが。


「っは…」


頭から冷たい水を被り、気分を鎮めようとする。

しかし、そんなことで治まるものでは無くなっていた。

気を抜くとふいっと意識を持っていかれる。


「おい、風邪引くぞ」


声がして、またぼーっとしていたことに気がつく。

相手の顔が満月の陰になりよく見えない。


「おい、聞こえているのか?」

「え、ああ…」


満月というものは狂わせる力があるというが…本当なのだろうか。

銀髪の相手は視線が自分に向いてないことに気がつき、振り返って満月を見上げる。


「…すっかり忘れてたな」

「何を…」

「こっちの話。お前の不調の原因に心当たりがあるだけ」


急に風が吹き、濡れた体から体温が急激に奪われる。

それと同時に一気に思考が覚めた。


「………頼むから、ある程度の不調は言ってくんねぇかな」


普段の態度から想像できないルビーの輝き。


「こっちは仕事なんでな」


熱が一気に収まり、酔いが醒める感覚。

それとほぼ同時に風が止む。


「治まっ…た?!」

「いや、応急処置だ。短くて二時間くらいしか持たない」


例えるならバケツの容量を一時的に増やしただけだとフェイトは軽く説明した。


濡れた髪はそのままで宿へ戻る。

当然表も裏も開いてないので、窓から進入する。


「ったく…少しは考えろ」

「先が残り少ないヤツに言って何になる」

「誰が後先の事と言った」


何を言いたいのか分かっている。


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347.75

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ちょーっと刺激が強かっ、た。


「~~~っ」


フェイトに後を任せ…というより押し付けて、屋根の上でひとしきり悶える。

緊急事態でやむをえないのは分かっている。

わかってはいるのだが…


「あう~…」


どうも待ち時間に読んだ本が原因でなかなか頭から離れない。

頭をぽかぽかたたいてみても、一向に離れず。


「うわーん、離れてよ~う」


頭が切り替わるまで、しばし時間を要したのは言うまでもない。


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452

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自警団はまったく相手にならなかった。

素人の集団に暗殺者を倒せるような力量があるわけがない。


「なんで?」


不思議に思う。

相手はがむしゃらにつっこんでくるだけ。

試しに浅く切りつけると、必死に抵抗してくる。

いつものように急所を一撃で仕留めると、悔しげな表情だ。


わからない。



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349

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手応えが浅い。

それでも狙いは正確に思ったとおりの軌跡を描く。


「…変?」


ひゅっという軽い音。

踏み込みが甘く入る。

普段なら体にずんっと衝撃が走るぐらいの勢いがある。


「よくも俺のモノに手を出したな」


相手と対峙しているリュートと背中を合わせる。

思ったより相手が多い。

見える範囲でざっと15人、気配からするともう少し多いかもしれない。


「ここをどういう場だと思っている!」


ほぼ全員、僧兵に扮した傭兵か暗殺者か。

何にしろ油断なら無い。

こっちも隙を見せないよう気配を張り詰める。


「お前達にとっては神聖な場だろうが、こっちには隠れ家にしか見えないね」



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999.3

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前は居住棟であった場所は外部からの進入もなくそのままだった。


「盗人も入るような場所ではないか…」


白骨と埃が時間を物語る。

あまり感慨のある場所ではない。

むしろ静かに抉られる。


未だに整理はつかない。

二人で受けた行為も。

二人で行った行為も。



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347.6

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荷物をひっくり返し、まじない用の薬を取り出す。

効くか効かないかという薄さの睡眠薬と幻覚剤である。


「う…」


その小瓶を危うく取り落としそうになる。


「ちょっとダメージが大きいんじゃないの?…動かないで」

「何を…」


頭のケガが響く。

そこにユイが触れるか触れないかの位置に手をかざすと、痛みがすっと無くなった。


「ほい、押しても触っても大丈夫」

「!?」

「骨以外は治った、今回は特別ね」


触ってみても痛くは無い、ゆがんだ視界も戻っている。

薬の量を調節しなければならないのでありがたい。



「ラウド、飲めるか?」


起こして薬を飲ませようとするが、苦しげな表情で唸っていて無理と判断する。

しかたなしに、少し流し込みやすいように水に溶かし、舌を噛まれない様に注意して口移しで飲ませる。

苦く甘い奇妙な味が口に広がる。


「んく……げほっ」

「ふう、飲み込んだか」


うまく飲んでくれたようだ、後は薬が効くのを待つだけだ。

幻覚剤が効いてくると、現実と切り離される状態になるので少しは楽になるはず。

苦しんでいる原因は、急にいじられたために起こる体と心の不一致だろう。

こいつの事だ、もしかしたら中途半端に意識同士が混ざり合った可能性が高い。


「…応急処置しかできないな」



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997

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一歩歩くたび、びしゃりという音がする。


「…ここまでなったか」


一面の赤


「うん、もうそろそろ」

「そうか、近いのか…」


赤い空間の主はどこか満ち足りた表情だ。


「でも、リュートはあと一人やったら旅はお終いだって」

「話は聞いているが、何でだ?」

「すこし時間が欲しいって、みんなで過ごす時間が欲しいんだって」


時間か、おそらくスフィアのためだろう。

この先のことを考えると、たしかにスフィアがある程度成長するまで一緒にいたほうがいい。


「…スフィアもそうだけど、クーも自分のこと知らないだろうから」

「ラウド、お前はどうする」

「すこし寝る、気持ちの整理してからリュートに聞きたい事がある」


相手になにかしら揺らぎがある。

前ほどではないが、何か納得してない気配だ。

紺色の目が刃物の光を宿している。



「フェイト」

「ん?なんだ?」


「裁かれるってどういうこと?」



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751

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ここ数日、リュートに呼ばれない。

何かあったのかと、隙を見て浮き上がった。


「えーっと、替えの包帯はどこかな?」


見慣れない小さな子供。

あちらこちらに荷物が散らばっている。


「あ、リュートが持ってるかも。ちょっと待ってて」


子供はぱたぱたと部屋を出て行った。


いつの間にこんな子供を連れていたのだろう。

全然、自分の記憶に無かった。

苦手だ、小さい子供は…すぐに泣くから。


「あったあったー、やっぱりリュートが持ってたの」


包帯を二個ほど持って戻ってきた。

それとなく、言葉を選んで、話しかける。


「…リュートは?」

「んとね、おとなしく寝てた。今日と明日は動けないかもねーって」


二、三日動けない、ということはケガをしたという事か。

それなら呼ばれない理由が納得できる。


「ちょっと聞こえてる?包帯巻くから目つぶって!」


癇癪を起こされそうになって、しぶしぶ目を閉じる。

次に呼ばれたら聞かなければ。



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汚れを落として宿に戻っても、冷たい感覚が取れない。

寝台の端に力無くへたりと座る。


「顔色わるいぞ、何かあったか?」


窓から入るのを手助けしてもらったフェイトに声を掛けられる。

答える気力もなく、首を横に振る。

相手は何か感じ取ったのか、無言で窓から出て行った。


「………っ!」


今までに数回ほど衝突したことはあったが、「逃げたい」などと思うことはなかった。

自分のセカイはリュートが中心だから。

でも、今度は違う。


離れたい。


あれだけ傍にいたかったのに、今は離れたい。

距離が、欲しい。

ただ、離れたい。



ガタンと窓の開く音がした。


「ったく…少しは考えろ」

「先が残り少ないヤツに言って何になる」

「誰が後先の事と言った」


びくりと声のする方向を見る。

丁度窓からリュートが入って来る所だった。

ぐっと胸が締め付けられる。

離れたいのに体が思うように動かない。


「はぁ…分かっているよ」


窓に向かってため息をついている。

気づかれたくなくて足元に目を向けた。

気づかないで欲しい、お願いだから、気がつかないで。



「気がつかないとでも思ったか?」


目じりに何か触れる。


触るな!!



突き飛ばそうとするも、寸での所でブレーキがかかる。

結局ポン、と軽く押し返す形になる。


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943.2

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しばらくぶりに本気で歌った割には上出来かもしれない。


まばらに拍手が聞こえる。

拍手をしていたのは見物客2・3人とスフィアとクー。

いつのまにか居たユイ。

そして…


「いい歌じゃない」


鈴の音がする。

先ほど反対側で舞っていた東方の踊り子だ。

そして突然の誘い。


「即興でお願いできるかしら?」

「構わないが…すこし調律させてくれ」


日に焼けた肌にショートのプラチナブロンドがまぶしい。

ならす様にとんとんとステップを軽く踏むと、足についた鈴が鳴る

くるりと回り準備運動がおわったらしい。


「よろしいかしら?」

「ああ」


リズムをとり、かき鳴らすのは情熱の恋の歌。

ただしアレンジを入れて、若干展開が早くなっている。


「ふふっ、いいじゃない」



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290

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ひどい悪夢だった。

自分のうなされる声で目を覚ますほど。

悪夢の中でされていた行為で、異様に体が熱を帯びている。


「すっげーうなされてたな」

「…、あぁ」


覆いかぶさるように相手が顔を覗き込んでくる。

夢の中で動けなかったのはコイツが上に乗って寝ていた所為らしい。


「何の夢見てたんだ?」

「余計な詮索をするな…うなされたんだから悪い夢だ」

「ふーん、うわごとで『いやだ』って言ってたからな」


それだけうなされていたのか。

…やはり『あの数ヶ月』の記憶は強烈なのか、まだ思い出すと夢に出る……


「よっぽどイヤな夢なんだな」


答えを言いたくなくて、口付けで返す。

早く気を紛らわせたくて、腕を回して抱きつく。


これも悪夢から繋がっているというのに。



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「食を調べるのも任務である。とは言ったものよねぇ」

「一口目は勇気が必要な物もあるがな」


たまたま夕食はパンドラと二人で屋台となった。

調べ物と報告があったので、リュートたち三人を置いて先行していた。

フェイトは見た目より小食なのであまり外食しないので、こういうときは二人だ。


「植物系は分解できないものあったりすると後がタイヘンなのよねぇ」

「月唯はほぼ分解できるから関係ないであろう」

「いやだって二人で感想言いながら食べた方がおいしいでしょ~」


体質的な不食のものもあるため、気をつけながらバランスよく選んでいく。

今日は魚を揚げたものを野菜と一緒に煮込んだものになった。

いただきます、と礼儀よく挨拶をしていただく。


「見た目がトマトなのに味がニンジンって」

「土臭くなくておいしいではないか、これは緑色のビーツか?」

「ほんとだ、キウイかと思った」

「うむ、ちょっと酸味が欲しい味だな」

「甘酢仕立てが恋しい味だねぇ、ほんと」


まぁ合わない事はないそこそこの味だった。

なぜか知らないけど酸っぱい食べ物に会わないため、ちょっと酸味が恋しい。


「果物もすっぱいの無いよねぇ」

「うむ見かけないの、鼻につーんとくる辛甘い果物にはさすがにびっくりしたが」

「リコリスみたいに甘苦いならガマンできるんだけど…さすがに辛甘いのは」


デザートは二人ともちょっとほろ苦いジュース。

あまりにも味が似ていたので勝手に「完熟ゴーヤジュース」と呼んでいる。

実際の実はスイカの仲間のようだったが…


「なんだ、こんなところにいたのか」

「あ、リュート。今到着?」

「ああ、遅いから食事摂ってから宿に向かおうと思っていた所だ」


人ごみでも目立つ髪色はやはり目印になるようだ。

到着したばかりの一行にあっさり見つかった。




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